今回はチームで使っているTeamsにSharepointのリストを連携させて承認回覧のワークフローを作ってみたお話です。
構築画面の全容をお見せすることはできませんが代わりに図を使用してワークフローの構築の仕方を解説していきます。

Teamsって色々なアプリと連携できるから便利よね
記事で解説する内容
この記事ではMicrosoft社のTeamsとSharepointのリストを活用して承認回覧のワークフローを手作りする方法を解説するものです。
具体的には以下のような動作を行わせます。
- Sharepointのリストに新規案件を登録(起案)【人】
- Teamsのチーム/チャネルに案件が登録(起案)されたことを自動通知【機械】
- 案件の担当者が報告書を作成【人】
- 報告書を自動で承認回覧【人→機械】
- 承認・拒否が行われるとチャネルに自動投稿【機械】
- 案件クローズ
※それぞれのステップで締め切りフォローする機能もおまけで付けています。
いわゆる一般的な承認回覧ですが、最近ではテレワークが推進されているためペーパーレスや脱ハンコの意識が高まり、これまで紙で回覧していたものをメールなどに置き換える企業が増えています。
中でも資金力を持つ企業は専用のワークフローを構築したり、外部から導入する事例も増えています。
一方で、ワークフローの構築自体に手間とお金が掛かるために十分に取り掛かれていない企業や、小チーム内で手軽にワークフローを活用したいなどのニーズも少なくありません。
そうした方々は今ある環境でお金を掛けずに工夫していると思いますが、この記事では比較的、どの企業にも揃いやすいMicrosoft社のアプリを使用してワークフローを構築しています。

ワークフローは「業務の流れ」を意味し予め決められた処理を行うことです。
ワークフロー構築に必要なもの
今回構築してみたワークフローで使ったものは以下の通りです。




Microsoft 365の契約内容次第ですが企業で比較的揃えやすいアプリケーションだと思います。
ワークフローの全体像
それでは早速ワークフローの構築手順を解説していきます。
一番苦戦するのはMicrosoft PowerAutomateの設定方法だと思いますので、その部分は特に分かりやすく解説したいと思います。
また今回は私が作成したリストの内容そのものになりますので、必要に応じて項目は変更してください。
尚、Microsoft社のアプリも日々進化しており短期間でアップデートが行われます。このため、ここに書いてある説明が通用しないこともありますので、その時はコメント欄でお知らせください。
- STEP1Teamsの設定を行う
- STEP2Plannerの設定を行う
- STEP3Sharepointの設定を行う
- STEP4PowerAutomateの設定を行う
- STEP5SharepointリストをTeamsに表示する
- STEP6動作確認を行う
Teamsの設定手順
まずはMicrosoft Teamsの設定をしていきましょう。
既にTeamsの環境がある方は飛ばしてOKです。
- Teamsをインストールする
まだTeamsをインストールしていない方は以下の記事を参考にしてください。
- チームとチャネルを作る
ワークフローはチーム単位で動作させることができます。
チームを作りその中にチャネルを作っておきましょう。
自動化させる際にどのチームを使うか?などの設定があります。
チームが作れたら下のようなチームの画面が完成します。

Plannerの設定手順
この設定は主に忘れ防止機能ですので省略しても構いません。
TeamsにPlannerを表示させる方法は以下の手順を参考にしてください。
SharePointの設定手順
次にSharePointのリストを作っていきます。
- SharePointを開く
SharePointはブラウザやチームのタブからも開くことができます。
- カスタムリストを作る
- SharePointの画面右上にあるツールを押してリストを作るを選択します。
- カスタムリストを選択します。検索すると見つけやすいです。
- 新しいリストが表示されたら列を追加していきます。
今回は以下のリストを作ってみました。
ID | 担当者 | 報告期限 | 分類 | 状態 | 件名 | 優先度 | 区分 | 詳細 | 資料 | 起案日 | 回覧日 | 審査日 | 承認日 | 動作 |
名前またはメールアドレス | 日付と時刻 | 一行テキスト | リスト | 一行テキスト | リスト | リスト | 複数行テキスト | ハイパーリンク | 日付と時刻 | 日付と時刻 | 日付と時刻 | 日付と時刻 | リスト |
※リストから選択するようにしている「状態」「優先度」「区分」「動作」は選択肢の設定を行っておきましょう。
※「動作」は今回のフローでは使用しませんが自動回覧させる時に使用します。
(例)
状態 :作成中|審査中|承認中|完了
優先度:高|中|低
区分 :A|B
動作 :回覧|回覧1|回覧2
PowerAutomateの設定手順
次にPowerAutomateで以下の2つの自動フローを作っていきます。
- 起案したことを通知するフロー
- 承認回覧のフロー
実際に使われるときは「承認回覧フロー」だけでも充分だと思います。
「起案したことを通知するフロー」を作成した理由は何か案件が生じた時の備忘録的な役割を担ってもらうためです。
現在人はやることが多すぎてすぐに埋もれてしまうので「登録して忘れない」を重視しました。
この記事では「1」までを紹介していますので、不要な方は以下から続きを参照してください。
それでは「起案したことを通知するフロー」の設定手順を解説します。
- 最初に新規フローの準備をしましょう。
+作成の「自動化したクラウドフロー」を選択します。

- フロー名を適当に入力します。
フローのトリガーは「項目が作成されたとき(SharePoint)」を選択し作成を押しましょう。

それではここから詳細な設定を行っていきます。
フローの上から順に解説を行っていきます。
- SharePointにリストが追加されたらこのフローを開始します。

サイトのアドレス | 現在あるSharePointから選択式です |
リスト名 | 現在あるリストから選択式です |

- リストの「状態」を”起案”に更新します。

サイトのアドレス | 現在あるSharePointから選択式です |
リスト名 | 現在あるリストから選択式です |
ID | ID(項目が作成されたとき) |
タイトル | タイトル(項目が作成されたとき) |
詳細 | 詳細(項目が作成されたとき) |
状態Value | 起案 ※リストの「状態」に選択肢を準備しないと表示されません |

- フローが開始された時点の時刻を抽出します。


- この変数にはメールアドレスを入力します。
- フローの自動回覧先の設定やTeamsの投稿で@メンションする際に必要になります。
- それぞれのブロックでひとつずつ定義すると後で人が変わった時に大変なので変数で定義します。
- 必要な数だけ変数を設定しましょう。順番は回覧させる順序でなくてもOKです。

名前 | 任意の名前でOK |
種類 | 文字列 |
値 | メールアドレス (xxx@ドメイン) |

- リストに登録された内容を自動でTeamsに投稿(メンション付)します。

投稿者 | Flow bot |
投稿先 | Channel |
Team | 任意のチームを選択 |
Channel | 任意のチャネルを選択 |
Message | 任意で設定しましょう |
【Messageの例文】</>を選択して入力しましょう。
<font size="4"><b>【リスト登録自動通知】IDID-区分-タイトル</b></font><br>
担当者:<at>担当者 Email</at><br>
報告期限:<b>報告期限</b><br>
新しい案件がリストに登録されました。<br>
報告期限までに報告書を提出してください。<br>
<pre>リスト登録内容
リスト名:IDID-区分-タイトル
詳細:詳細
</pre>
<b>通知先リスト</b><br>
<at>〇〇アドレス</at><br>
<at>〇〇アドレス</at><br>
<at>〇〇アドレス</at><br>

- 期限を設定してPlannerに登録することで締め切り日になると通知が行われます。

グループID | 任意のチームを選択 |
プランID | 任意のプラン名を選択 ※事前にTeamsにPlannerを設定する必要があります。 |
タイトル | IDID_区分Value_タイトル |
バケットID | Plannerでバケットを設定していれば設定しましょう。 |
開始日時 | 現在の時刻 |
期限日時 | addDays(body(‘現在の時刻‘),5) |
割り当てられたユーザー | 担当者 Email |
画面右上にある保存ボタンを押してフローを保存します。
フローチェッカーにエラーが表示される時は解消しましょう。
コメント欄でお知らせいただければお手伝いできることがあるかも知れません。
TeamsにSharePointを表示させる
TeamsにSharePointを表示させる方法は以下の手順を参考にしてください。
Step2で紹介したものと同じです。
動作確認
動作確認時には上司などにTeamsの自動投稿が送られてしまわない様に変数の中身を空欄にすることをおススメします。特に問題なければ設定したままでOKです。
- Teamsに埋め込んだSharePointかブラウザを開きましょう。
- +新規ボタンを押して必要事項(*)を入力しましょう。
- 保存ボタンを押してリストに登録しましょう。
- 正常に動作すればTeamsの指定したチャネルに自動投稿が行われます。
少しタイムラグがあるかも知れません。 - いつまで経っても投稿されない時はPowerAutomateのフローの履歴から現在の状況を確認しましょう。
ID | 担当者* | 報告期限 | 分類 * | 状態 | 件名 * | 優先度 * | 区分 * | 詳細 * | 資料 | 起案日 | 回覧日 | 審査日 | 承認日 |
名前またはメールアドレス | 日付と時刻 | 一行テキスト | リスト | 一行テキスト | リスト | リスト | 複数行テキスト | ハイパーリンク | 日付と時刻 | 日付と時刻 | 日付と時刻 | 日付と時刻 |
リストの見た目を強調したい時は
SharePointのリストはExcelのように色を付けて強調できます。
設定方法は以下の記事で取り上げていますので興味ある方は参考にしてください。
特に状態(起案・審査中・承認中・完了)や期限日を過ぎたら、あるいは期限日の2日前に色を変えるなどすると案件がどのような状態か、期限日近いなどが一目で分かりやすくなります。
まとめ
今回は承認回覧ワークフローの導入部であるSharePointのリストにリストが登録されたらTeamsのチャネルに自動投稿するフローの設定方法を解説しました。
特に難しい設定もなく気軽にワークフローを自作できる点でPowerAutomateはとても優れたアプリだと思います。
設定上で分からないことがあればコメント欄でお知らせください。
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